先日、長崎さるく博を体験してきました。

長崎さるく博とは、長崎で開催されている日本ではじめてのまち歩き博覧会。

期間は、今年4月1日(土)から10月29日(日)。"さるく"とは、ぶらぶら歩くという
長崎弁。長崎の歴史や町並みをぶらぶら歩きながら、探索する博覧会です。

基本は、下記の３コース。

　☆ 遊さるく　･･･ ガイドマップを片手に旅行者が自由気ままに散策。
　　　　　　　　　 全４２コース。

　☆ 通さるく　･･･ 地元ガイドといっしょにまち歩きを楽しむ。
　　　　　　　　　 全３１コース。参加料金は、１回１名５００円。
　　　　　　　　　
　☆ 学さるく　･･･ 専門家による講座や体験で、さらに深く探求。
　　　　　　　　　 全７４コース。参加料金は、コースにより設定。


その他、長崎の伝統文化を体験できるメニューや、各種イベント、
さるく見聞館など、期間中、長崎市内すべてが会場となります。

私が、参加したのは、『 文人墨客も思案した？ ～丸山巡遊～ 』 。

丸山界隈ゾーンの通さるくで、日本三大花街であった長崎の丸山界隈を
名曲「ぶらぶら節」を聞きながら、細い路地、古い石畳を歩こう！というコースです。

丸山は、1642年に作られた塀で囲まれたエリアで、
ピーク時には1400人もの遊女がいたそうです。

花街というと、ちょっと卑猥な感じがしますが、当時は、鎖国が行われ、
長崎の出島だけで貿易が行われてた時代。オランダや、中国などからの
輸入品を求めて、国内の商人達が長崎を訪れたため、丸山には
交渉や、情報交換の場としての役割があったそうです。



丸山入り口付近にある思案橋。

遊びに行こうか行くまいか、人々がここにあった橋の上で思案していた
ことから、この名がついたそうです。(写真は、路面電車の駅の看板です。)



この建物は、長崎検番。芸者の手配や統括をするところで、
今も稽古が行われており、時折三味線の音色も聞こえてくるそうです。



これは、梅園身代り天満宮にある恵比須石。
石が、なんとなく恵比須さんの顔に見えます！？



ここは、老舗の料亭青柳。

平和記念像を製作した彫刻家の北村西望氏の作品が展示してあり、
女将さんにお話を聞かせて頂きました。



ガイドをして頂いた船津さんです。

絵や難しい文字などは、時折、資料を織り交ぜて、
大変わかり易く説明して頂きました。


この長崎さるく博、市民と行政が一体になり、３ヶ年計画を立て、委員会・ワーキング
チームを作り、平成１６年、平成１７年の２年間のプレイベントを経ての開催。

現在、ガイド ３５４名、サポーター １３６名が登録している。

また、何かしらで関わっている人は、長崎市民の60人に一人にあたる約8,000人。
まさに長崎市を挙げての取り組みだ。

すべてのイベントを市民が企画し、市民が実施し、その成果を
市民が得るという市民主体の実施が方針。

今までにない、市民と行政が一体となった長崎方式を作り出し、
観光による都市活性化の新しいモデルを作りだすという熱い志が、
この盛り上がったイベントの裏にある。

長崎は、長崎市内はもちろん、周辺の市町村でも、離島でも観光産業を
地域の産業として、認識している素地がある。これだけの市民参加型の
催しができた根底には、観光に対する市民の共通意識があるからであろう。

博覧会は、10月で終わるが、
街全体のガイドマップと、ガイドができる多くの人材が、その成果として残る。

参加者も、予定をしていた人数を大幅に上回っているようだが、
今回の取り組みで、長崎が一番得たものは、
　・地元のことを知り、おもてなしの心で訪れた方に紹介できる人と、
　・その人たちの横のつながり、
言い換えれば、人材とネットワーク、他の多くの地域が課題としている
この両方を得たのではないだろうか。

訪れて魅力を感じるところは、街に活力があり、住んでいる人たちが
楽しんでいるところ。長崎は、それを感じさせる街でした。