2007年10月15日

「どう迎えるか。中国からの観光客の今後を展望する」

「どう迎えるか。中国からの観光客の今後を展望する」

昨日、福岡で開催された日中関係学会全国大会での
「どう迎えるか。中国からの観光客の今後を展望する」
という観光フォーラムに参加してきました。

現状の基調報告と、パネルディスカッションが行われたの
ですが、インバウンドに取り組まれている旅行会社の人の
お話や、聴講者のメンバーも日中交流に意欲的な人が多く、
それに参加された中国人の方から中国人から見た九州観光の
課題なども聞くことができ、とても中身の濃いフォーラムでした。

書き留めた何点かをご紹介します。

・中国人ツアー客は日本語で話がしたい!

→ 日本に来て、バスでの移動中に添乗員から日本語を教わり、
  現地に着いたら、日本語で話しかけてみようと楽しみに
  しているところに、日本人から『ニーハオ!』と声をかけ
  られ、折角意気込んでいたのに、戸惑われることがある。
  現場での行き違いを感じることがたくさんある。

・参加者が、日本ことを良く知っているか、知らないかで
  日本のマナーや習慣に対する理解に差がある。


→ ツアー中に添乗員の方が、「食事は静かに!」とお願いすると、
  日本に留学やビジネスなどで来た事がある人は、理解してくれるが、
  初めて日本に来て日本のマナーを知らない観光客は、「何故、食事中に
  おしゃべりをしてはいけないのか!楽しむために旅行しているのに!」と
  いう回答が返ってくる。文化や、マナー、生活習慣の違いなどの違いを
  理解させるのが難しい。

・質の悪いツアーは売りたくないが・・・

→ 現状では、客に選択肢はなく、旅行会社が企画したツアーに参加する
  しかないが、旅行会社側にも質の高いツアーを企画したいけど、そう
  できない背景がある。
→ 異文化体験、非日常を味わうならヨーロッパの方が感じやすい。また、
  海外旅行初心者の中国人としては、近い海外よりも遠い海外に行きた
  がる。質の良い日本ツアーを組むとヨーロッパ旅行同等の料金になり、
  日本ツアーを選んでもらうには、安いホテルなどを使って安い料金に
  おさえないといけない。

・失踪者の問題

→ 団体ビザの発行会社は身元引受人になる。失踪者が出た場合、日本の
  旅行会社がペナルティを受ける。仕組み上の課題やおかしなところも
  今後の対応が必要。

・ツアー料金を安くすればいいのか?

→ 確かに今現在は日本ツアーは高いが、個人旅行の時代になれば、
  コスト的問題は改善されていくのでは?
→ ホテルや食事施設などに過剰な値引きを求めることはしたくない。
  WIN-WINの関係が理想だし、現在の韓国人ツアーを見ると、大人数の
  観光客を斡旋する代わりに過剰な格安料金を求められ、ブームが
  終わるとそれきりの状況などあり、過度の安いツアーの設定は日本の
  観光産業の成長には繋がらない。
→ 魅力ある地域に人は行く。観光の目的は、非日常を味わうこと。
  それ相応の料金でも九州は中国の富裕層に対して癒しを提供できる
  場になれるのではないか?
→ 安くする必要はない。中国人は、お金を使う時は使う。その決定を
  するスピードも速い。普通の中国人観光客にとって、海外旅行は
  まだまだそんなにするものではなく、行くときにはお金を使う。

・取り組み次第では、国民的大交流が起きる可能性も?

→ 残留孤児を呼ぶとか、日本でビジネスや留学をしている人たちの
  両親を呼ぶとか、仕組み次第では、大交流が起きる可能性もある。
  現在はその岐路にある。歴史問題も踏まえながら、一過性の
  観光客誘致ではなく、大きな仕組みを考えることが大切。

・九州が中国人観光客を増やすための課題は?

→ まだまだ九州という知名度が高くない。知らないところに行きますか?
→ 九州の特徴は何?九州の特徴が中国人には伝わっていない。
→ 東京のディズニーランドが主な観光スポットに挙げられているが、
  中国人にとって、香港など他の地域にもディズニーランドはあり、
  そんなに行きたい場所ではなくなってきている。
→ 中国には、火山がない。だから富士山には行ってみたい。火山は
  富士山だけでなく九州にもあるが、それが中国人には伝わっていない。
→ アニメの展覧会や、ウルトラマンのショーとか中国人の興味を理解した
  してイベントなどをやったらどうか?
→ 日本の文化や生活に触れてみたいと思っている。それは、首都圏でなく
  ても九州でもできるのでは?

などなど、盛り上がっていた討論を端折って紹介したので、それぞれの
文脈の流れにかけていますが、今後の中国人観光客誘致に対するたくさんの
ヒントがありました。

2005年に、団体旅行のみだが、中国全土から日本旅行が可能になった。
いずれ個人旅行が解禁となる時が来るだろう。中国人が行ってみたい海外としては、
北米、欧州、東アジアなどが人気の旅行先で、日本のランキングは低い。

また、その中でも九州は、東京、大阪、名古屋の都市圏に負けるのは
仕方ないとしても、北海道にも実績で負けている。

アジアに近く、地の利はある。人の和もある。もうすぐ天の時が来る。
その時までに、九州の知名度を挙げ、魅力を高め、相手を理解する。
そうすれば、より多くの九州ファンを作れるのではないだろうか?

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Posted by よかろうもん! at 02:11│Comments(0)観光取り組み
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